健康第一の女子高生・夜霧リルは、しかし反面、信じられないレベルのバカである。
貧乏故に家にテレビもなく、新聞もなく、授業をまともに聴くこともしていないからか、彼女は知らなかった。世界には、空想とばかり思っていた吸血鬼が実在していて、もう11年も前に人権まで認められているという事実を。
そんな彼女は、学費免除受験免除の超絶特待生として、私立藍堂学園に入学できた。できた……は、いいものの、その学園には『結び』と呼ばれる相互扶助制度があった。人間は吸血鬼に対し、生存に必要なものを提供する。その代わり、人間の生徒は寮の生活費を免除されるなどの特典を受けられる制度。
だが、リルには受け入れがたい制度だった。
だって、彼女の中で吸血鬼とは、人の首筋に噛みついて、血を啜る化物だ。
血管に直接歯を立てるだなんて、そんな不衛生なこと、健康第一な彼女には許し難かったのだった――――